【10月16日開催】『教育』をテーマにしたHSP勉強会

HSP卒論インタビュー。社会学の観点から作った卒業論文

HSPの卒論インタビュー

茨城県のHSP第一人者のりょうたです。

2020年以降専門家からは『HSPブーム』と呼ばれるくらいHSPが広まり、多くの人に知れ渡りました。

HSPが広まったことは喜ばしい一方でHSPが歪んで伝わり間違った、質の悪い情報もかなり増えてしまいました。

これからHSPの研究が進んで正しいHSPの情報がより表に出ればと思います。

今回の記事ではHSPをテーマに卒業論文(卒論)を書いた知人の大学生のよしこさん(仮名)にインタビューをしました。(本人の意向で顔と本名は出してません)

2022年1月25日にオンライン(Zoom)でインタビューを実施しました。
  • 現在大学生でこれからHSPを卒論で扱いたい、研究したい
  • HSPの卒論の流れを知りたい
  • 心理学とはまた違ったHSPに対するアプローチを知りたい

という方はぜひご参考にしてください。

よしこさんの紹介

茨城大学人文社会科学部現代社会学科の国際・地域共創メジャー。

ゼミでは社会行動論を専攻し、社会や人との関わりや人々が社会とどういう関係を作るかを探求するゼミに所属しています。

春からは一般企業に就職予定。

りょうた
りょうた

よしこさんは僕が主催しているHSP勉強会にもご参加いただいてます。

卒論を始めるくらいの時期からHSP勉強会に参加していただいて、僕が共有したHSPの研究知見もお役に立てたと思います。

HSPを知ったきっかけと卒論のテーマにしようと思ったワケ

HSPを知ったきっかけは2020年4月に『世界一受けたい授業』で、この番組が放送される前に母親から「テレビの内容があなたに似てる」と勧められて観てみたら自分の性格(気にしやすい、傷つきやすいなど)に似てると思いました。

母親が勧めてくれなかったら、HSPを知ることもなかったかもしれません。

卒論は最初は別の予定で地域、施設に入るフィールドワークが主流だったのでそちらの形式でやる予定でした。

ただ、コロナウイルスが流行ったことでフィールドワークを実施するのが厳しいと判断しました。

でも、ちょうどHSPを知って面白そうと思ったので、HSPを卒論で使おうと決めました。

また自分の性質、自分とは何かを明らかにしてみたい気持ちもあってHSPを卒論にしようと思いました。

りょうた
りょうた

世界一受けたい授業(テレビ)の拡散力は本当にすごいですね。

世界一受けたい授業でHSPを知った人はかなり多い印象です。

具体的にどんな研究をした?

主にインタビューをしました。

  • インタビューした方の感情や行動がHSPを知ったことによってどう変わったか?
  • HSPを知る前と知った後での自己認識がどう変わったか?
  • HSPに対する向き合い方

をインタビューを通じて明らかにする研究をしました。

りょうた
りょうた

今まで僕が発信したHSPや多くの研究者のHSP情報は主に『心理学』の観点からでしたが、よしこさんの場合は『社会学』の観点からの研究ですね。

ちなみにインタビューは僕も受けました。

HSPを卒論のテーマに決めたときの教授やゼミ内の反応はどうだった?

同じセミ内の学生はHSPを既に知っている人が1人か2人かいて、ネット上のHSP診断テストを受けて「私もHSPかも」という人もいました。

なので、「一部の人はHSPを知ってるんだな」と思いました。

全体的にも興味を示したり、面白そうと言ってくれた人もいたのでやりやすかったです。

教授については元々HSPをまったく知らない方で、「本当にHSPってあるの?」と最初は言われてしまいました。

そこで対話的自己エスノグラフィーという手法を使って、インタビューと同じ質問を教授から私にしてもらい対話を重ねることでHSPに対して理解してもらうことができました。(懐疑的ではなくなった)

対話的自己エスノグラフィとは?

自分自身の語りをデータにすることです。

自分の他にもう一人質問してくれる人が必要で、卒論ではゼミの教授にインタビューと同じ質問をしてもらい私が答えて出した文言を卒論に書きました。

自分語りを卒論に落とし込むことですね。

対話的自己エスノグラフィの手法は、心理学の中の『質的心理学』の研究者の方が編み出した方法だそうです。

りょうた
りょうた

個人的にはゼミの教授の研究に沿ったものを卒論にするイメージでした。

場合によっては、よしこさんのように教授がノータッチのテーマでも卒論のテーマにしてもOKのようです。

HSPを知っている研究者・教授もまだかなり少ないので、卒論でHSPを扱う場合は教授とよく相談するのが必須ですね。

卒論を作るうえで大変だったこと

自分の特性や性格を深く掘り下げるので、自分の弱みを見つけていくように感じもあったので途中精神面で辛く感じることはありました

研究の面で言うとHSPの研究もそこまで確立されたものではないためどう落とし込めばいいか、どこに着地すればいいかがかなり迷いました。

また引用文献などを探すときも、HSPに関する学術書は少ないので論文をひたすら探しました

りょうたさんに教えてもらった研究者をもとに、気になった研究者の論文を芋づる式に探していった感じでした。

そのなかで『Japan Sensitivity Research』(HSPの研究者が運営するHSP情報サイト)はかなり重宝しました。

りょうた
りょうた

現状どうしてもHSPに関する学術書など一般に出回っているちゃんとした情報は少ないですから情報収集はどうしても苦労しますよね。

そのうえで精神的にしんどくなるのは卒論ならではですね…。

英語は大丈夫だった?

英語は翻訳アプリ(DeepL)があって、日本語を入れて英訳してました。

私も英語は得意ではなかったので翻訳アプリ頼りでした。

教授からも翻訳アプリを使っちゃダメとかはありませんでした。

りょうた
りょうた

僕が卒業研究を進めていた2010年当時は翻訳アプリはなく、通常の紙の辞書や電子辞書で地味に訳すしかありませんでした。

今の大学生が羨ましいです(笑)

ちなみにDeepLは研究者でも使っている人は多いです。

HSPの卒論を作るにあたって参考にした情報

ネット上にある情報

日本唯一の研究にもとづくHSPの情報サイト。Japan Sensitivity Research

Japan Sensitivity Researchは特に参考にしました。

HSPに関する論文はだいたい載っているので、まずは Japan Sensitivity Research から論文を探しました。

また、論文を探していく中で気になる研究者も出てきたので、1人の作者に注目して『○○ 論文』という風にGoogle検索をしていろんな論文を探しました。

新聞記事もテレビやSNSより説得力があり社会的に知られている情報が提示できると考え、導入のところで使わせていただきました。

りょうた
りょうた

社会学的な学部、アプローチだったのでHSPの背景を説明する意味では新聞記事も役に立ったようです。

書籍

書籍は卒論に載せられるようなものがほとんどなかったので、参考文献はほとんどネット上の論文でした

書籍については引用文献などに使っていませんが、HSPに関する予備知識をつけるためにアーロン博士の本を読んだりしました。

特に『ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき―HSP気質と恋愛』は参考程度には読んでいました。

りょうた
りょうた

HSPの研究について取り上げた書籍(学術書)もありますが、書店で売られてるのはほとんど見たことないですね。

関西大学教授の串崎先生が書いた『繊細な心の科学』などがありますが、今のところはカウンセラーなどが書いたエビデンスに乏しい本が圧倒的に多いです…。

よしこさんが考えるHSPとは?

HSPの論文を通じて思ったことだと、『自分を理解するためのキーワード』だと思っています。

HSPというと『繊細』、『敏感』という言葉が知れ渡っていますけど、私としてはそれがすべてではないと思っていて、繊細・敏感な部分もありそうでもないところもある。

HSPはあくまでその人にとっての『1つのトピック』と考えています。

HSPにとらわれ過ぎて私が精神的にきつくなったのもあったので、HSPという単語に全て自分を当てはまるのではなくあくまで自分の一部分だと思います。

りょうた
りょうた

たとえば子供がいる親御さんでもHSC(HSP)と不登校をセットで語る人も多いですけど、必ずしも『HSC=不登校』になるわけでもないですからね。

それに人はHSPだけでなくいろんな気質や要素を持っていますから、HSPも考慮しつつ様々な角度から物事を考えたいですよね。

これからHSPを卒論で扱う大学生へのメッセージ

まだ研究途中で、HSPの定義が決まってないので難しさはあると思いますけど、その中で私は心理的というより社会学的にHSPにアプローチしました。

HSPはちょっと見方を変えれば、珍しい・面白い研究ができる分野です

でも、真っ向から立ち向かうと打ちのめされるので、見方を変えたり、焦点狭めていくとやりやすいとは思います。

りょうた
りょうた

まだ研究の例が少ないという意味で難しさはありますけど、やってて面白い部分もありますよね。

自分にしかできない研究ができるとか。

よしこさん、ご協力ありがとうございました(^^)

編集後記。HSPの研究がより進んでほしい

記事のまとめ
  • 人文学部所属でHSPを卒論のテーマにした
  • 卒論はインタビューを通じてHSPを知る前と知った後の変化やHSPに対する認識などを聞いた
  • ゼミの教授は元々HSPを知らなかったけど、対話を重ねることで理解を得られた
  • 学術的なHSPの情報が少ないので情報集めは大変だった
  • HSPを掘り下げること(自分を掘り下げる)で精神的に辛く感じたことはあった
  • HSPの学術的な情報はJapan Sensitivity Researchが万能
  • HSPがその人の全てではなく、あくまで一部分
  • HSPは見方や角度を変えることで、珍しい・面白い研究もできる

去年偶然にもHSPを卒論で扱うよしこさんに出会うことができ、HSP勉強会にもご参加いただきました。

僕が一番印象に残ったのはHSPは心理学の分野なので、HSPの研究も心理系の学部の人が行うイメージでしたが、今回のよしこさんのように人文学部など心理学以外の学部にいてもHSPの卒論は作れるということ。

もちろん学部による研究内容のズレはありますが、いろんな角度からHSPが分かるのも良いことだと思います

まだまだHSPの研究も発展途上ですが、まずは卒論あたりからHSPを研究する人が増えてほしいと思います。

よしこさん、インタビューにご協力いただきありがとうございました(^^)

りょうた
りょうた

実は今回のよしこさんに加えて去年もTwitter上で別の大学生がHSPの卒論をやっててその相談にも乗っていました。

HSPを卒論でやりたい大学生の方、僕で良ければ力になりますよ。

HSP勉強会も開催しています。

※2022年3月20日追記

HSPの研究者でもある飯村周平さんが論文執筆に関する本を出しました。

論文作成って作り方など独特な部分が多くとっつきにくいので、体系立てて論文の執筆のやり方を学ぶと良いかも知れません。