メダカを飼っていると、卵を産んで稚魚が生まれるなんてことがしばしばあります。
ただ、このメダカの稚魚には気をつけなくてはいけません。
大人のメダカ以上に注意して飼育しないと、あっという間にかなりの数が死んでしまいます。
今回の記事では、
- メダカの繁殖をしたい
- メダカの稚魚が孵化したけど、どう世話をすればいいかわからない
- メダカの稚魚がすぐ死んでしまう・数が減ってしまう
というかた向けに、メダカの稚魚の育て方や注意点をまとめてあります。
目次
メダカの稚魚について
メダカの稚魚の見た目

『針子』とも呼ばれる細長い見た目のため、近くで見てかろうじて見えるという感じです。
親メダカをイメージすると、あまり似てるという感じでもありません。
エサはいつから、どんなものを与える?
孵化した直後は『ヨークサック』という栄養の溜まっている部分(卵の卵黄みたいな場所)が腹部にあるため、孵化してから2,3日はエサはやらなくて大丈夫です。
それ以降はエサを与えますが、普通のメダカのエサは粒が大きすぎるためメダカの稚魚は食べることができません。
稚魚用の粉末のエサがあるので、そちらを与えるようにしましょう。
ただし、通常のエサもすりつぶして粉末状にした状態なら与えても問題ないです。
市販の通常のエサ以外なら、
- グリーンウォーター
- ブラインシュリンプ
がオススメです。
グリーンウォーターは水の中に植物プランクトンがいるためエサをやる手間が省けますし、ブラインシュリンプは栄養価が高い点でいいですね。
ただし、ブラインシュリンプについては、卵だけではダメで孵化させるために専用の孵化器も必須です。
生きたブラインシュリンプを使うときは、孵化器もあわせて準備しましょう。
エサの量や回数

メダカの稚魚に与えるエサの量は水が汚れない程度にして、親メダカよりは回数は多めにしましょう。
稚魚は体が小さいため、一度に食べることができるエサの量にも限度があります。
ただし、成長のために栄養はちゃんと必要なので親メダカよりはエサを与える回数は増やしましょう。
水草も入れておく

水草は水を浄化したり、光合成で酸素を供給する、稚魚の隠れ場所になりストレスを軽減してくれるというメリットがあります。
そのため、稚魚のみの水槽にも水草は入れておいたほうが良いです。
メダカの稚魚は親メダカとは別の水槽で飼うのが基本ですが、どうしても同じ水槽で飼育する場合は水草を入れておくと上手く隠れて親メダカに食べられずに成長もできます。
隠れ場所という点では、わりとどの水草でも使えるのでアナカリスやマツモ、ウィローモスといった定番の水草でも大丈夫です。
稚魚用の水槽で1~2ヶ月飼育する
成魚の半分くらいの大きさになったら移す
いつまで稚魚用の水槽で育てるかは成長具合を見てということになります。
だいたい生後1,2か月すれば、大人のメダカといっしょにいても問題ないくらいの大きさに育ちます。
具体的には大人のメダカの半分くらいの大きさ。
これでやって特に問題はありません。
ちなみにある程度の期間、稚魚用の水槽にいると、あとから孵化した稚魚を追いかけたり共食いもあります。
稚魚同士でもあまりに大きさに差が出ている場合は、大きくなった個体を別の水槽に移しましょう。
いきなり移さず、水合わせをする
そして別の水槽に移すときはいきなりそのまま稚魚を移すのではなく、水合わせという作業は必ずやりましょう。
そのまま稚魚を別の水槽に移すと、急な環境(水質)の変化でショック死することもあります。
稚魚に限らず、生体を別の水槽に移すときは水合わせを忘れないようにしましょう。
メダカの稚魚を外の水槽で飼う場合

ここまでは室内の水槽で飼った場合。
大人のメダカはもちろん、稚魚も外の水槽で飼うことは可能です。
ただしこちらは外特有の注意点や特徴もあります。
天敵に注意
外で飼う場合、いろんな生物がやってくる場合があります。
極端な例だと、メダカの天敵であるヤゴやタガメが来る可能性もゼロではありません。
また水たまり、水槽内に発生するボウフラも、大人のメダカであれば大好物のエサになりますが、メダカの稚魚の場合は逆にボウフラに食べられてしまうこともあります。
外の水槽でメダカの稚魚を育てる場合、水槽内にそういった外部の生物が入ってきてないかも注意しましょう。
ちなみに先日、外の水槽を観察していたら見知らぬ生き物がいると思って出してみたら、

まさかのヤゴでした。
ヤゴやタガメともなると、水槽内のメダカが全滅する可能性もあります。
他にもヒドラやボウフラなど、稚魚の天敵って意外といます。
微生物が自然に発生する
こちらは外で飼う場合のメリット。
外で飼うと日光が室内よりよく当たるので、メダカのエサとなる微生物(植物プランクトン)が自然に発生します。
また太陽の光が当たることで、ビタミンDが作り出されてメダカが丈夫に育つというメリットもあります。
ただし1日中日光が当たると、特に夏は水温が上がりすぎてしまうので、半日(午前中)だけ日光が当たる場所がベストです。
余裕があれば植物プランクトンを豊富にふくむグリーンウォーターもオススメです。
一見濃い緑で「大丈夫?」というような色ですが、実は植物プランクトンがいっぱいでメダカにとって最高の環境です。
といった感じで、軌道に乗ればエサを与えなくても大丈夫な点では屋外での飼育はメリットもあります。
蒸発したぶんの水をつぎ足すのを忘れないようにしましょう。
これらのメリットもあってか、メダカを養殖する業者も屋外でメダカを飼育、繁殖していることが多いです。
大雨に注意
大雨にあたると、水槽の水があふれて水といっしょにメダカの稚魚も流出してしまうことがあります。
そのため、雨の当たらない場所に水槽を置くかフタをするといった対策が必要になります。
夏から秋にかけては台風やゲリラ豪雨もありますので、特に気をつけましょう。
メダカの稚魚を飼育するときの注意点

メダカの稚魚が孵化しました。
実は大人のメダカと違い、注意する点がいろいろあるのでしっかり確認しておきましょう。
メダカの稚魚は餓死に注意
メダカの稚魚の死因1位は、エサが不足することによる餓死。
先ほども触れたように孵化してから2,3日は腹にある袋(ヨークサック)の中にある栄養分で生きていますが、それ以降はエサが必要になってきます。
かといってエサの与えすぎは水質の悪化にもつながります。
量は与えつつ、水質との兼ね合いが大事になってきます。
孵化後、2週間は特に注意!
エサやりをふくめてですが、稚魚が孵化してから2週間くらいは稚魚を注意深く観察しましょう。
この2週間が一番稚魚が死亡しやすい時期です。
生まれたばかりの稚魚は針子とも呼ばれ、「針」という名前がつく通りとにかく細く小さいです。
ある程度大きくなると、体も丈夫になり大人のメダカと同じように扱ってもちゃんと育ちますが、針子のときは特に餓死(栄養不足)しやすいので注意。
メダカ稚魚が死ぬ理由と対策。生存率を上げよう原則、水換えはしない
そしてメダカの稚魚は丈夫でないので、水を換えるのも原則しないようにしましょう。
水を換えて急に水質が変わると、それだけでもメダカの稚魚への負担は大きいです。
もし手を加えるとしても、スポイトで水槽の底のゴミを取るとか水面のゴミや油膜を取り除くくらいにとどめましょう。
ちなみにあまり小さい水槽だと水量が少なくて、水が汚れやすいので気をつけましょう。
水換えやろ過装置の導入は稚魚への負担もかかりますが、最近は水に入れるだけで水質を浄化してくれる道具もあるので活用しましょう。
エアレーション、ろ過装置は不要

大人のメダカの水槽ではエアレーション(ブクブク)やろ過装置を入れるのが普通ですが、稚魚用の水槽では使わないようにしましょう。
エアレーションは本来、水中に酸素を供給してくれますが、同時に水槽内で水流が少なからず発生します。
特に稚魚の場合、その流れの中を泳ぐのはかなり体力を消耗します。
そして結果、メダカの稚魚が死んでしまうこともあるのです。
ろ過装置も水中の汚れを取り込みますが、同じく水流が発生してしまいます。
メダカの稚魚は特にエサやりに注意

以上、メダカの稚魚の育て方でした。
稚魚の場合、大人のメダカ以上に注意深い観察が必要です。
- 生まれたばかりのときは特に餓死に注意。ただし、エサの与えすぎも禁物
- 水はなるべく換えない(蒸発したぶんをつぎ足すだけ)
- 外で飼うときは、ヤゴなどの天敵が入ってこないように注意
このあたりに気をつければ、より多くの稚魚を大人のメダカまで成長させることも可能です。
特に初心者はエサのあげかたにメダカの稚魚の飼育が上手くいかない原因が多いです。
コツをつかんでくると大量にメダカを繁殖させることも可能ですが、水槽に入りきらないからといって、くれぐれも近所の川などには絶対に放流しないでください。
元々いなかったメダカが入ってくることで生態系が崩れてしまうので、放流は厳禁です。