ブラック企業から生還しましたりょうたです。
先日Twitterでやりとりのある、かずさんがこのようなツイートをしてました。
ツイートにもありますが、本来会社は従業員を簡単にクビにすることはできません。
クビにする場合は懲戒解雇レベル(犯罪を犯した)などは例外としても、通常はそれ相応の理由が必要です。
社員もそうですが、会社・経営者が意外とこの点を知らずに従業員を解雇する例もありますが本来あまりよろしくありません。
今回の記事では解雇(クビ)について法律をもとに改めてまとめてみました。
解雇(クビ)するには制限・条件がある
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。
労働基準法第19条
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
労働基準法第20条
前提として『解雇』については労働基準法で明確に定められています。
犯罪や犯罪に近いことをやったことによる懲戒解雇は除くと、解雇は大きく2パターンです。
- 解雇は30日前には予告しておく
- もし予告できない場合は、解雇予告手当を従業員に払わなければいけない
とはいえ原則はあらかじめて予告するのがセオリーとされているので、突然
君は今日を持ってクビだ!!
ということは本来ありえません。
あらかじめ解雇の旨を従業に伝えるか、解雇予告手当というそれ相応のお金を従業員に払う必要があります。
解雇予告手当を支給しなくてもいい場合
このように解雇をする場合は、
- 30日前に解雇を予告する
- 解雇予告手当を払う
のどちらかが原則です。
ただし解雇予告手当については払わなくてもいい例外があります。
特別なケースですが、解雇予告手当を支給しなくてよい場合もあります。
・日日雇い入れられる者(雇用期間が1ヶ月未満)
・二ヶ月以内の期間を定めて使用される者 (期間内)
・季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者 (期間内)
・試用期間中の者(14日未満)上記の方々は、労働基準法第21条により、解雇予告手当の支給対象ではありません。
「解雇予告手当」とは何ですか?
要は試用期間中や短期間の労働者ですね。
普通の正社員やアルバイトなどであれば該当することはないので、よほどのことがなければ本来は簡単には解雇されません。

特に正社員の場合は、ある程度長期間の雇用を前提にしてるからなおさら解雇は珍しいはずですね。
解雇の条件。裁判で判断も
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
労働契約法第16条
解雇はいつでもだれにでも大してできるわけではありません。
労働契約法では『客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合』は無効としていますが、明確な線引きは正直ありません。
解雇が有効か無効かは最終的に裁判になることも多いようです。
ただし、
- 能力が低いから
- 妊娠したから
- 業績が下がったから
など単純に理由があれば良いわけでもありません。
例えば『能力が低いから』という場合も
解雇理由として認められる「成績不良」とは、営業成績が悪い、作業効率が低いといったものだけを指すわけではありません。
たとえば会社に重大な損害を与える、企業経営や業務運営に重大な支障をおよぼすなどのことを指し、そのような著しい成績不良が認められた場合には、解雇が適法とされることがあります。
能力不足でクビに!「能力不足」は正当な解雇理由として認められるの?
ただ能力が低いだけでは解雇が認められる可能性は低く、明確に会社に被害が出るくらいのレベルでないと解雇が認められないことも多いです。
加えて会社側が社員の能力向上に最善を尽くしたかが争点になることもあります。
ドラマなどで、
ノルマに達しなければクビだ!
なんてシーンも観たことあるかもしれませんが、あれは現実的にはあり得ない話です。
余談ですが、僕は農業法人に転職しましたが入社3週間でクビになりました。
理由は能力不足でした(笑)
(本来はNGな可能性が高い)

書類上は『退職勧奨』ですが、手続きが少し面倒でした(笑)
実質ということでブログではクビで通してます。
解雇された後の話
会社都合退職になる
経営破たんや業績悪化に伴う人員整理により、一方的に労働契約を解除される場合が一般的です。加えて、退職勧奨・希望退職に応じた場合や、勤務地移転に伴い通勤が困難になった場合、何らかのハラスメント被害を受けた場合など、自分の意志に反して退職を余儀なくされたケースも当てはまります。
自己都合退職、会社都合退職の違い|知らぬは損?それぞれの退職メリット・デメリットとは?
退職は一般的に2種類あって、
- 自己都合退職
- 会社都合退職
に分けられます。
自己都合退職は、自分から「退職します」などというなど、自分から退職の意思表示を示して辞めた場合を指します。
他に転居や結婚に伴う退職も自己都合退職とされています。
一方会社都合退職は解雇や会社の倒産、会社からの退職勧奨に応じたなど会社側から労働契約を解除された場合を指します。
また最近ではパワハラなどのハラスメントを苦に退職する方もいますが、ハラスメントによる退職も証拠を集めるなどしてハラスメントが会ったことが認められればたとえ自分から退職を申し出ていたとしても会社都合退職という扱いになることもあります。
そして解雇などによる会社都合退職はちょっとしたメリットもあります。

ハラスメントなどブラック企業に関する問題全般はいかに証拠を集めるか。
暴言なら録音、長時間労働ならタイムカードやメモなどがあるとよさそう。
失業給付がすぐもらえる、額が増える場合もある
特定受給資格者及び特定理由離職者とは
事業主及び被保険者・離職者の皆さまへ
特定受給資格者とは、倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされ
た者(具体的には以下の「特定受給資格者の範囲」に該当する方)であり、一方、特定理由離職者とは、特
定受給資格者以外の者であって期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理
由により離職した者(具体的には以下の「特定理由離職者の範囲」に該当する方)であり、これに該当した
場合、
① 失業等給付(基本手当)の受給資格を得るには、通常、被保険者期間が 12 か月以上(離職以前 2 年間)
必要ですが、被保険者期間が 12 か月以上(離職以前 2 年間)なくても 6 か月(離職以前1年間)以上あ
れば受給資格を得ることができます。
② 失業等給付(基本手当)の所定給付日数が手厚くなる場合があります
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
解雇や倒産などやむを得ない理由で退職、離職した人(会社都合退職の人)は『特定受給資格者』と呼ばれる部類に入ります。
特定受給資格者になることによって、
- 自己都合退職の場合はハローワークで手続き後に3か月の待機期間がありその間は失業給付がもらえないが、特定受給資格者に認定されることで、1週間の待機期間後からすぐに失業給付がもらえる。
- 場合によっては失業の額が増えたり、支給の期間が長くなることもある。
といったメリットがあります。
額についてはいろんな要素が絡むそうですが会社都合退職の場合は、自己都合退職より早く失業給付がもらえるのは大きいメリットですね。

退職してから一番不安なのが『お金』。
自己都合退職でも失業給付はもらえますが、やはり3か月など間が空くのでもらえるものは早くもらいたいですよね。
まとめ。クビを過度に恐れることはない
- 従業員を解雇するには『30日前に予告する』『予告がムリなら解雇予告手当を払う』が必須。
※懲戒解雇レベルは除く - 『能力が低いから』など単純な理由では解雇は無効になる。客観的・合理的な理由が必要になる
- 解雇された場合、『会社都合退職』扱いになることもある
- 会社都合退職(特定受給資格者)になることによって、失業給付の受給時期が早まったり、額が自己都合退職より増えることもある
記事を書くにあたって解雇について僕も改めて調べてみましたが、想像してたより本来は解雇のハードルは高いなと感じました。
単に能力が低い(仕事ができない)から解雇できるわけでもないし、解雇をするにしてもちゃんとした理由があったり、30日前には予告するなど様々な縛りがあるんですよね。
そうなると社員側もクビを過度に恐れる必要はないし、明確に会社に損害を与えたり、モラルに欠ける言動をしなければ問題ないのではないでしょうか。
解雇については労働基準法や労働契約法など法律でもしっかり明記されているので、経営者はもちろん労働者も知識として知ってほしいなと思います。