【環境感受性】HSPとは周りの環境に影響されやすい人のこと

著者:長池涼太(HSP研究・エビデンスを発信するブロガー)

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2020年は「HSP」がテレビなどで取り上げられる機会も多く、HSPの知名度がかなり上がった年になったと思います。

今まで知られてなかったHSPが多くの人に知られたのは僕も嬉しいです。

一方でSNSなどネット上では大手メディアもHSPを取り上げ出したり、そもそもHSPの発信をする人がかなり増えたため、

  • 情報の取捨選択が難しい
  • 正しい情報、間違った情報の選別が難しい(知識が必要)

などの問題が見受けられるようになりました。僕はHSPのおおもとでもある研究・エビデンスの知識を積み重ねました。

おかげでHSPが繊細さや敏感さから派生するデメリットだけではなく、本来は「良くも悪くも環境に影響されやすい人」という認識を持つようになりました。

HSPブームと呼ばれるもの

HSPの研究者など一部の人の間では「HSPブーム」とも呼ばれていますが、僕がHSPの発信を始めた2018年と比べても、明らかにHSPに関する情報量は増えたと感じます。個人として発信する方ももちろんですが、特に顕著なのが大手メディアがHSPを発信し出したのと一部の病院(主に精神科やメンタルクリニック)など医療機関もHSPを扱い出したこと。

ただ注意すべきは、本来病院はHSPは専門外です。そもそもHSPは医療用語ではなく、心理学の話ですからね。そのためHSPを「治す」「改善する」なんてことはありえませんし、上記のツイート内でも触れてますが「HSPうつ」なんて概念は本来存在しません

あるクリニックでは、HSPであることによって生じるうつ症状を「HSPうつ」と名づけ、磁気刺激療法による治療を勧めています。しかし、まず前提として、心理学でも精神医学でも「HSPうつ」という概念/疾患は存在しません。それゆえ、「HSPうつ」なるものが磁気刺激療法で改善するというエビデンスも全くありません。いくつかの医療機関では、HSP/HSCを「診療」「改善」することを謳った宣伝をしています。しかし、これは明らかに医療機関側でHSP/HSCを適切に理解できていないことを意味しますのでご注意ください。

media&evidence Japan Sensitivity Research

HSPとは良くも悪くも環境に影響されやすい人

HSP(Highly Sensitive Person)あるいはHSC(Highly Sensitive Child)とは、環境感受性がとくに高い人たちを表すカテゴリもしくはラベルです。そのため、HSPは「生きづらさ」を表すラベルではなく、「良い環境と悪い環境から、良くも悪くも影響を受けやすい人」として理解されています。

HSP/HSCとは何か?環境感受性の考え方を知る

「HSPとは何か?」と聞かれたときに、

  • 繊細
  • 敏感

という言葉を使う人が多いですが、実は研究の話だと繊細や敏感という言葉はそこまで出てきていません。HSPとは何か、というと難しそうな印象ですが、要は「環境に影響されやすい人」のことを言います。

本来のHSPについて研究者の飯村周平さんが解説しています。

さらに環境と言っても、

  • 職場環境
  • 家庭環境
  • 人間関係全般

などいろんなものがあります。これらに対して影響を受けやすい人から受けにくい人まで、いろんな人がいます。このような環境に対する感受性(影響の受けやすさ)のことを「環境感受性」と研究では呼んでいます。

環境感受性の高い人から低い人まで様々ですが、HSPは環境感受性が特に高い人のことを言います

りょうた
りょうた

環境感受性自体は誰もが持っています。ただし人によって環境感受性が高い人、低い人、普通な人といます。

生きづらさの原因はHSPではなく周りの環境にある

HSPだから生きづらいではない

ネット上ではHSPと生きづらさがセットになっていることも多いですが、本来HSPと生きづらさに直接の関係はありません。とは言いつつ、僕も昔は生きづらさを感じていました。しかしその生きづらさの原因はHSPではなく、ブラック企業でした。

あたりが主なところですが、これは仮にHSP抜きにしてもキツいですよね。HSPは病気でなく、生まれ持った気質である以上は改善したり治すということはできません。HSPを変えるのではなく、

  • 今いる環境を変える、改善する
  • 自分がその環境を離れる

ということが重要になってきます。ブラック企業で言えば、

  • 労働局、労働基準監督署に相談、訴える
  • 会社を辞め転職する、もしくは独立する(フリーランスになる)

ってところですね。HSPならではの対処法もあるでしょうが、それ以上に「今いる環境に対してどうするか?」が重要ですね。

りょうた
りょうた

ブラック企業でなくまともな企業で働けていたら、僕は生きづらさを感じることはなかったですね。

HSPと不登校もそんなに関係ない

ちなみにHSP(HSC)とセットで「不登校」の話題も挙がりますが、HSPだから不登校になるとは限りません

​学校が苦手な生徒や不登校の生徒に対して、安易にHSP/HSCというラベルを貼るのは不適切です。HSP/HSCへのスティグマ(差別、誤ったレッテル)につながります。支援者はHSP/HSCというラベルを貼ることよりも、その生徒がどのような苦痛を訴えているのか、どのような(悪い)環境に置かれているのかをアセスメントし、それに応じた支援を検討する必要があるでしょう。子どもの感受性気質は、支援を検討する際の一つの要素であって、ラベルを貼ること自体が目的になるべきではないように思います。

Media & Evidence Japan Sensitivity Research

もちろん不登校の子どもの中にHSP(HSC)という子ども一定数はいます。ただしHSPが原因というよりは、

  • 子どもがなぜ学校に行きたくないのか?
  • 何に対して苦痛を訴えているのか?
  • 学校に行く意味(もしくは行かない理由)

がポイントですね。

りょうた
りょうた

僕の周りに限れば、HSPというよりは発達障害の子がそれなりに多い印象です。もしお子さんが発達障害の可能性があるなら病院で検査を受けることをオススメします。

実は発達障害の検査を拒否する(認めたくない)家庭は意外と多いみたいです。

子どもの場合はブラック企業など大人とは違ったアプローチになるでしょうが、いずれにしても学校や家庭などの「環境」は大きなポイントになりますね。

りょうた
りょうた

特に高校進学や大学進学は環境が大きく変わることも多いので、よりケアが必要ですね。

周りの環境に影響されやすいからこそHSPと環境をセットで考える

記事のまとめ
  • 研究者の間では「HSPブーム」と呼び名がつくくらい、2020年はHSPの知名度が上がった
  • HSPとは「良くも悪くも環境に影響されやすい人」のことである
  • HSPは生きづらさを表すものではない
  • HSPだからといって生きづらくなったり不登校になるというわけではない

2020年はHSPの知名度が上がったぶん、「HSPとは何なのか?」というのが僕の中で曖昧になった部分もありました。その中でHSPの研究や研究に関する発信を追いかけてたどり着いたのが『良くも悪くも環境に影響されやすい人』。

結局HSPの人が抱えやすい多くの問題は、周りの環境を整えたり違う環境に移動することで改善がしやすいです。HSPに関する悩みを抱えている方は、まずは今の自分が置かれている環境について一度じっくり考えてみることをオススメします。

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