著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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2026年1月12日に茨城県水戸市の常磐大学で開催された『男性育休!どう進めるか』シンポジウムに行ってきました。
育休について学生の発表やパネルディスカッションから育休について改めて知見を得てきました。


ブラック企業研究家
長池 涼太
職業紹介責任者の資格所持。大学でのブラック企業に関する授業登壇の実績あり。当メディア涼しく生きる運営。
ブラック企業において過労死寸前の長時間労働やパワハラを経験。その経験をもとに大学などでブラック企業の実態やブラック企業で壊されたキャリアの再生方法等を解説。
シンポジウムの概要と流れ

- あいさつ&シンポジウムで何を学ぶ?(法律経済学科吉田勉教授)
- 男性育休取得推進の事例報告+α(法律経済学科の学生)
- パネルディスカッション「社会の維持・発展と男性育休、どう考えるべき?」
また、パネルディスカッションに関してはコーディネーターで吉田教授のほかに以下の4名が登壇しました。
- モーハウス代表・光畑由佳氏~授乳服から世界へ!あるべき男性育休への提言を
- ペンギンシステム(株)代表取締役社長・仁衡琢磨氏~最先端企業での働き方改革と男性育休
- 厚労省茨城労働局雇用環境・均等室長・横山ちひろ氏~地域・企業の取り組みを全力支援!
- 常磐大学総合政策学部准教授・及川怜氏~合理的選択による家事・育児分担とは?

経営者、労働局、大学と様々な立場から様々な意見が出ました。
育児休暇(育休)とは?
育児休業とは、原則1歳未満のこどもを養育するために一定期間会社を休める制度です。
育児休業|育児休業制度特設サイト|厚生労働省
育児休業の申出は、それにより一定期間労働者の労務提供義務を消滅させる意思表示です。
仮に、お勤め先の就業規則に育児休業に関する規定がなくても、法律に基づき育児休業を取得することができ、会社側は休業の申出を拒めません。
育休は原則子どもが1歳になるまでは取得ができ、男女とも同じ条件で取得ができます。また、育休中は条件を満たせば育児休業給付金が支給されるため、会社側の金銭的な負担は基本的に発生しません。

会社負担がないことは意外と知られていないらしいです。
育休にかかわる制度や法律は整備されつつある一方、特に男性に関しては8割ほどが3か月未満の取得など依然として短期の取得が多いようです。
男性育休取得推進の具体例:福岡市の成功事例
学生の発表の中では、男性の育休取得率100%を達成した福岡市の事例の紹介もありました。
福岡市は16日、2024年度の男性職員の育児休業取得率100%を達成したと発表した。全国の政令市で取得率が100%となるのは初となる見通し。
福岡市の男性職員「育休取得100%」達成…政令市で初の見通し
福岡市の高島市長が2022年に「男性の育休取得率100%」を目標に掲げ、その中で以下の施策を講じました。
- 原則、全員が1週間以上の育休を取得する
- パパ・すくすく子育て計画書の作成
- 上司が面談を実施
- 1週間以上育休を取得しない場合は、具体的な理由を上司に伝える
また、男性育休を通じて「共育て」の意識を作るようにし、「女性活躍推進」「産後うつの改善」の効果を市民・民間企業にも周知し、広く育休などの周知をしたそうです。
このほか福岡市では育休に関して様々なことをやっているので以下のリンクよりご覧になってください。
シンポジウムで印象に残ったポイントと男性育休の課題
育休を取りやすい雰囲気づくり

育休に関する法律は思ったより整備はされている印象でした。ただそんな中でも産休や育休に関しては労働問題に発展したり、揉め事になったような話もうっすらと耳に入ってきます。職場によってはまだまだ育休を取りづらいような雰囲気があるのかもしれません。

また、育休を取ったとしても育休で職場を離れていた間に新しい従業員が入ったり、会社時代の変化などもあって、いざ職場復帰したら居場所がなくなっていたなどの問題もあります。また、後述のような育休を取得した人の雇い止めや降格の問題もあり課題も多いです。
育休の実例と周りの人のサポート
シンポジウムの中では育休取得の実例として小学校の教員や県庁職員の例があがりました。有給休暇でカバーして育休を取らなかった人、半年の育休、1年の育休をとった人のそれぞれの解説がされました。
一概にどのパターンが良い悪いではなく、また実家から近いので親(子どもの祖父母等)のサポートを受けられる人、実家が遠いなどでサポートが受けづらい人などいました。

なおシンポジウムの中で出た統計によると都道府県ごとの「祖父母との同居・近居率」の統計も出ており、1位沖縄県79.4%、2位以降は愛知県77.3%、福井県71.8%、東京都71.7%と続き、茨城県は28位65.2%、46位は秋田県57.0%、最下位は岩手県53.8%となっており、この点も地域差があるようでした。
とるだけ育休問題

最近SNSでも目にするようになった「とるだけ育休問題」についても触れました。
育児への積極的な参画を促そうと、九州・山口の企業でも男性の育児休業(育休)の取得を後押しする働き方改革が進んでいる。一方で、一部は育休中も家事や育児をしない「取るだけ育休」となっている実態もあり、解決への取り組みが課題だ。
「取るだけ育休」男性が家事や育児しない実態…企業は取得後押しするが「役に立たない」と望まない女性も:地域ニュース : 読売新聞
男性側が育休をとったはいいものの、何をすればいいかわからないなどで実質「いるだけ」になってしまっている状態。結果、妻の負担が増えて産後うつにつながったり、音の世話までしなければならず育休取らずに仕事に行ってもらってた方がマジという事態にもつながります。
役割分担を明確にするなどの解決策や話し合いが必要そうです。
育休関連の労働問題もある
産休や育休に関する労働問題はいろいろとうわさには聞きますが、僕が集めてきたブラック企業・労働問題情報でも少ないながらありました。たとえば2025年10月に記事になった北海道大学における雇い止め。
女性は2020年4月、北大の助教として5年間の任期で採用され、22年に産休と育休を計5カ月取った。復帰後、上司の男性教授は出産・育児を理由に、1年更新の職種への切り替えを要求。女性は3年雇用するとの覚書を教授と交わした上で、1年更新の博士研究員になったが、実際は1年で雇い止めになった。
「産休後に降格、雇い止め」 元助教が北大と教授提訴|NEWSjp
育休も徐々に認知されているとはいえ、まだまだ雇い止めなど冷遇されることはあるようです。
男性の育休を知る貴重な場になりました
育休というと女性に焦点が当たることが多い印象で、今回のように男性の育休に特化したシンポジウム等のイベントはかなり珍しかったと思います。
育休取得者を増やす流れは今後も続きますが、同時にただ闇雲に育休を増やしてもトラブルになることもあったり、企業側にしても育休に関する理解が追い付いてない部分もあると感じました。



