著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
2025年12月16日に茨城大学人文社会科学部法律経済学科の労働法(担当:松井良和講師)の授業にゲスト講師として登壇してきました。

昨年に続きの登壇になりましたが、学生に向けてブラック企業の実態やフリーランスに関する解説をしてきました。

ブラック企業研究家
長池 涼太
職業紹介責任者の資格所持。大学でのブラック企業に関する授業登壇の実績あり。当メディア涼しく生きる運営。
ブラック企業において過労死寸前の長時間労働やパワハラを経験。その経験をもとに大学などでブラック企業の恐ろしさやブラック企業を避けるための立ち回りなどを講演等で解説。
今回の授業内容
基本的な内容は昨年に授業した際のスライドをベースにしました。僕の元職場であるブラック企業のエピソードを軸に以下の点を加えました。
- 塾講師時代に自殺したくなった時の話
- 昨年以降、増えたフリーランスの活動
またブラック企業の統計も昨年は茨城県内約40社のブラック企業のデータをもとにしてたのが、今年は全国から集めた約160社分のデータをもとにしたので、内容に厚みが出ました。

全国規模でデータをとったので、業種としてはまんべんなくデータが取れました。
授業の主な内容
- ブラック企業とは?
- ブラック企業での経験談
- ブラック企業を辞めた後のキャリア
- ブラック企業から身を守るためにできること
まずはそもそもブラック企業とは何かを、学生数名に聞きました。「労働時間が長い」「ハラスメント、いじめがある」などオーソドックスな回答でしたが、厚生労働省で言及している内容も近かったので、ブラック企業の大まかな意味と学生のイメージにはそこまで大きな差はないことを確認しました。
各ブラック企業でのエピソード
メインは僕が勤めた建設会社、学習塾、農業法人におけるブラック企業エピソードを話しました。

特に学習塾は就業年数が長いこともあり塾でのエピソードをメインに話しました。長時間労働の話がメインで、特に入社3年目に過労死ラインの残業をしていたころに、帰りの車の運転中に対向車線を走っていた大型トラックに「衝突しようかな…?」「ぶつかって死んだら楽になるかな?」と思ってしまい、一瞬とはいえ自殺願望を抱いたこともありました。

聞いてる学生も一瞬引いたような顔をしている方が多かったですが、我ながらこの点は今考えてもゾッとする出来事でした。
会社に属さない働き方・人生
僕は2016年5月に農業法人をクビになってから今(2025年12月)に至るまでの9年間、正社員どころか「雇用」というものには無縁でここまで来ました。パワハラによって働くこと自体がトラウマになってしまったのもありますが、同時にフリーランスになったことによって会社に属さない生き方もするようになりました。

あくまでフリーランスなどの会社に属さない生き方を推奨するわけではないですが、最近は副業も流行っていたり今後の働き方が多様化する可能性などを考えると選択肢の一つとしては頭に入れておいてもらいたいものです。
授業では僕の普段の活動として「ブロガー(ブラック企業研究家)」「NPO法人教員支援ネットワークT-KNIT理事・広報」「コミュニティスペース本拠地管理人」などを挙げました。
学生からの質問
このような内容で1時間ほどしゃべった後、学生数名から質問をいただきました。やはりブラック企業関連の内容は非常に気になったようでしたが、特に印象に残った2つの質問と僕の回答を紹介します。
- 学習塾でDX・IT化をしたのにブラック企業化したとのことですが、本来DXは業務効率化のためになるはず。なぜ労働環境が悪化したのか?
- おっしゃる通りDXはまさに効率化や業務負担の軽減のためにされることも多いです。そして表面上は効率化して、労働時間も短くなる場合もあるけど、正しく運用しないと事務面など逆に労力が増えることも多いです。
(社長の独断でごり押ししたため現場がついてこれなかった)
- 金融・保険業、不動産業のブラック企業が統計上は少ないとのことですが、なぜでしょうか?金融業界等はブラック企業が多いイメージでして。
- 僕も統計前はブラック企業が多いイメージなので正直意外な結果でした。僕が会った人の印象として、金融や保険、不動産業は『体育会系』の社風やそういう空気感の人が多く、良くも悪くもタフな人が多いと思いました。そのため内情としてはブラックでもそもそも自覚がない人も多いと思います。実際この業界に限らず、自分が勤めている会社ブラック企業と認識していない人も意外と多いです。ちなみに僕も昔勤めていた塾などは勤めている当時はブラック企業とは思っていませんでした。
このほか様々な角度から質問をいただいたので、それだけしっかり授業を聞いていただけたり少なからず僕の話が響いたと思いました。
今後の展望
昨年に続いての労働法の授業登壇でしたが、質問などの内容からして少なからず学生に対してブラック企業の実情はある程度の対策などは伝えられたと思います。
ブラック企業研究家としても、もちろん今ブラック企業で苦しんでる人を救うことも大事とは思いつつ、予防策としてこれから就職する学生に向けてブラック企業に関しての知識を身に着けていただいて、長期的には被害が減ればいいなと思っています。
その点では、今回のように教育現場でブラック企業の話をする機会は非常にありがたいですし、今後より広げられればと思います。
現状、近い取り組みでは連合(労働組合)や労働局による講座も一部の大学や高校などで開催されています。もちろんそちらも専門家がやるという点では非常に意義があり僕自身も応援したいところですが、同時に僕のようなブラック企業を経験した『本人』だからこそわかること、話せることもあります。
若者のキャリアを守る意味でも、まずは「ブラック企業」を知って身を守りませんか?
ブラック企業等に関する講演依頼は随時受け付けていますし、内容等のご相談も大歓迎です。お気軽にお問い合わせください。



