「あけおめ退職」とは?年末年始に退職者が急増する理由と背景を事例を交えて徹底解説

「あけおめ退職」とは?年末年始に退職者が急増する理由と背景を事例を交えて徹底解説

著者:長池涼太(ブラック企業研究家)

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この記事では、最近話題の「あけおめ退職」という言葉について、その意味や発生の背景、そして社会に与える影響を初めてこの言葉を耳にする方にもわかりやすく解説します。

この記事では、以下のポイントを深掘りしていきます。

  • なぜ退職の決断が「年始」という特定の時期に集中するのか?
  • 実際に「あけおめ退職」を選んだ人々の具体的な事例
  • あけおめ退職から、私たち労働者と企業がそれぞれ考えるべきこと
あけおめ退職についてYouTubeでも解説しました。
記事の著者
ブラック企業研究家長池涼太

ブラック企業研究家
長池 涼太

職業紹介責任者の資格所持。大学でのブラック企業に関する授業登壇の実績あり。当メディア涼しく生きる運営。

ブラック企業において過労死寸前の長時間労働やパワハラを経験。その経験をもとに大学などでブラック企業の実態やブラック企業で壊されたキャリアの再生方法等を解説。

あけおめ退職とは?

あけおめ退職

「あけおめ退職」とは、その名の通り年明け早々に仕事を辞める現象を指します

あけおめ退職は、単なる個人の転職タイミングの話に留まらず、日本の労働環境が抱える構造的な問題や、働き手の価値観の変化を映し出す鏡と言えます。マイナビの調査においては「年末年始に出社したら、同僚など近い人が退職していたという経験がある人は、5人に1人に上る」というデータもあり、決して他人事とは言えない事態になりつつあります。

なお、あけおめ退職は年末年始を経た退職を指しますが、同様のケースはゴールデンウイークやお盆休み、シルバーウイークなどほかの時期の連休明けでも起こりえます。

なぜ「年始」に退職を決意する人が多いのか?心理的背景

年末年始だけでなくゴールデンウイークやお盆休みなどほかにも大型連休はあります。その中でも年末年始を経ての退職が多いとされています。

 こうしたあけおめ退職は、ゴールデンウィーク明けよりも、人と会う機会の多い、年末年始の休暇明けが一番多いといいます。

退職代行に相談増「あけおめ退職」 新年早々なぜ辞める?

なぜ年末年始を経ての退職者が多いのか?年末年始という特定の時期に退職の決断が集中する理由を、心理的背景から解き明かしていきます。

長期休暇がもたらす「立ち止まって考える」時間

年末年始などの大型休暇は、多くの人にとって、日々の業務の喧騒から離れ、自分自身のキャリアや働き方を冷静に見つめ直す貴重な機会となります。

また、実家への帰省や旧友との再会など、普段会えない人々との交流が増えることも大きな要因です。家族や友人から客観的な意見を聞くことが、自分が置かれている職場環境への認識を改めさせます。

実際に、「年末に友人たちと集まる機会があって、仕事の話になった時に今の状態でいいのか不安になった」という声や、「親に本気で心配されていた。実家から戻るとまた仕事が始まるのかと思い、憂うつな気分になっていた」という声が示すように、休暇中の対話が退職決断の引き金となるのです。

「今年は変えたい」という新年のリセット願望

新年は、多くの人にとって心理的な「区切り」となります。「今年こそは新しいことを始めたい」「心機一転、一からスタートを切りたい」という前向きな気持ちが、現状を変えるための大きなエネルギーになります。

「『明けましておめでとうございます』で入社をするのか、『明けましておめでとうございます。辞めさせてもらえますか?』の二択で迷った。去年は去年で、今年は今年で、自分のスタートを一から切りたいという思いがあり、そのタイミングを選んだ」

休暇明けの憂鬱と不満の表面化

長期休暇は心身をリフレッシュさせる一方で、「またあの職場に戻らなければならない」という憂鬱な気持ちを増幅させる側面もあります。楽しい休暇を過ごした後だからこそ、職場の問題点(上司との人間関係、過重労働、不当な給与など)がより一層際立って感じられます

この休暇明けの憂鬱感が、それまで蓄積されていた職場への不満を爆発させる「最後の一押し」となり、退職決断の引き金となります。「正月に理不尽だと思ったことで決断してしまいました」という意見もあり、休暇中の出来事が直接的なきっかけになったことがわかります。

「あけおめ退職」のリアル:3つのケーススタディ

「あけおめ退職」のリアル:3つのケーススタディ

ここでは、報道された実例を基に、「あけおめ退職」の背景にある個人の葛藤や状況を挙げています。

ケース1:劣悪な労働環境からの脱出(20代・介護職員)

田中さん(20代・仮名)
「なんでそういうことも分かんないの?とか。まだこういうのもやっていないの?できていないの?みたいな。言われることがすごく嫌でした」

退職代行に相談増「あけおめ退職」 新年早々なぜ辞める?

ある20代の介護職員の女性は、上司からの「なんでそういうことも分かんないの?」といった心無い言葉が常態化している環境で働いていました。

年末年始の休暇中に友人にその悩みを打ち明けたところ、「それないねー」「ひどいねー」という客観的な反応が返ってきました。その言葉で、自分が置かれている状況が異常であると確信し、退職を決意します。

彼女は「やりがいは感じるし、大切だとは思うが、そこではなく環境」と語っており、仕事内容そのものではなく劣悪な労働環境が退職の根本的な原因であったことを示しています。最終的に彼女は、自身の力で退職を伝えることが困難だったため、退職代行サービスを利用しました。

ケース2:キャリアの再出発と自由の追求(元警察官)

「『明けましておめでとうございます』で入社をするのか、『明けましておめでとうございます。辞めさせてもらえますか?』の二択で迷った。去年は去年で、今年は今年で、自分のスタートを一から切りたいという思いがあり、そのタイミングを選んだ」

退職代行に相談増「あけおめ退職」 新年早々なぜ辞める?

公務員である警察官という安定した職を辞め、年始に新天地を求めて上京した男性もいます。彼が退職を決めた理由は「自由度に欠けていた」という点でした。組織の中で決められた道を歩むのではなく、自らのキャリアの方向性を自分で選び直したいという強い意志が、年始という区切りの良いタイミングでの再出発を後押ししました。

ケース3:退職を妨げる会社の圧力(20代・男性)

「親の調子がどうしても悪くて、自分が少し一緒にいてあげたいんだけどっていうことで言ったんだけども、会社からは『損害賠償請求する』と言われて、いや、どうしたらいいのか分からないから、ちょっと入ってほしいというような感じでした」
「ご自身で『退職したい』ということはやったが、なかなか厳しい」

退職代行に相談増「あけおめ退職」 新年早々なぜ辞める?

親の介護という、やむを得ない理由で会社に退職を申し出た20代の男性のケースです。しかし、会社側からの返答は「損害賠償請求する」という信じがたい脅しでした。

このケースは、労働者が正当な理由で退職を申し出ても、会社の圧力によって円満に退職することがいかに困難な場合があるかを示しています。このような状況が、後述する「退職代行サービス」の需要を高める一因となっているのです。

こうした退職にまつわるトラブルを背景に、今、注目を集めているのが「退職代行サービス」です。

りょうた
りょうた

圧力をかけられたり退職の意思を伝えることに危険を伴う際は退職代行も有効です。

連休中は身の振り方を考える良い機会になる

実は僕自身も塾講師のときは退職の時期は連休明けではなかったですが、退職を決意したのが、夏期講習後にあった約1週間の連休中でした。

連休中はちょうど高校の同窓会があり、そこで恩師に再開しました。その恩師に当時過労で苦しんでいることなどを相談したら、転職に関するアドバイスをいただけたり、ジョブカフェを紹介されたりしました。翌日にはジョブカフェに行き、1日で転職活動の大まかな段取りが組めたこともありそこでようやく退職の決意ができました。

このように連休というのは身の振り方を考えるのにうってつけかもしれません。

労働者・企業はあけおめ退職にどう向き合うか?

「あけおめ退職」という現象から得られる教訓を、労働者と企業双方の立場からまとめます。

労働者が心掛けるべきこと

  • キャリアプランの冷静な見直し 年末年始の休暇を、感情的に「もう辞めたい」と考えるだけでなく、自身のキャリアプランや働きがいについて冷静に見つめ直す機会として活用することが重要です。
  • 第三者への相談という選択肢 会社に退職の意思を伝えても、「損害賠償を請求する」といった不当な引き止めに遭うケースもあります。そのような場合は一人で抱え込まず、退職代行サービスや法律の専門家といった第三者に相談するという選択肢があることを認識しておくべきです。

連休中はじっくり考える時間もあるため自身のキャリアを見つめ直す良い機会にもなります。一方で衝動的に会社を辞めることを伝えるのも会社にとっては寝耳に水な話で混乱させる場合もあります。もちろん退職は契約社員など例外を除けば、会社が不当に止める権利はないですが、退職までちょっとだけ時間を置くなどの妥協策があっても良いでしょう。

ただし、先述のように退職の意思を伝えると不当に退職を妨害したり損害賠償請求をしてくる会社もまれにあるので、その場合は一人で抱え込まず、労働組合や弁護士など専門家に相談しましょう。

企業が取り組むべきこと

  • 労働環境の問題のサインと捉える 「あけおめ退職」は、単なる個人の心変わりの問題ではなく、自社の労働環境やマネジメント体制に何らかの問題があるという危険信号と捉えるべきです。これは単なる人員補充の問題に留まらず、組織全体の生産性低下や残存従業員の士気悪化に直結する経営課題です。
  • 連休明けの心理的負担を軽減する工夫 連休明けの初日から過度な業務量を課すのではなく、従業員がスムーズに仕事モードに復帰できるよう心理的負担を軽減する配慮が、エンゲージメントを維持し、離職を防ぐ上で有効。

あけおめ退職に対しては意見も賛否両論であり、当然否定的な意見もあります。ただあけおめ退職は労働者からの一種のサインとも取れるのではないでしょうか?

今後のキャリアを考えて退職したケースもありますが、それまでの会社に対する不満が連休明けに爆発したケースも考えられます。

まとめ

  1. 「あけおめ退職」は他人事ではない 年末年始の長期休暇がもたらす「自己省察の時間」や「新年のリセット願望」といった心理的要因が、日頃の職場への不満と結びついて発生する社会現象です。
  2. 背景には深刻な労働問題が存在する 退職の背景には、ハラスメント、過重労働、キャリアへの不安など、労働者一人ひとりが抱える深刻な問題が存在します。
  3. 企業への警鐘 この現象は、企業に対して、従業員の心理的安全性を確保し、働きやすい環境を整備することの重要性を強く問いかけています。

「あけおめ退職」は単なる労働者の退職ではなく、労働者からの何らかのサインとも取れます。一見個人的な決断の裏にある社会的なシグナルを、私たち一人ひとりが、そして企業社会全体が、真摯に受け止めるべきではないでしょうか。

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