バイト出勤「3分前」は遅刻じゃない!たこ焼き屋炎上事例に学ぶアルバイトの労働法

バイト出勤「3分前」は遅刻じゃない!たこ焼き屋炎上事例に学ぶアルバイトの労働法

著者:長池涼太(ブラック企業研究家)

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SNSで話題になった「タイミーで入ったバイトが出勤3分前に来たから帰らせた」というたこ焼き屋の投稿。

タイミー。 こう言う返事の方はハズレ濃厚です。 ちなみに昨日の方は出勤3分前に来たので帰らせました。

たこ焼き屋「タイミーさんが出勤3分前に来たので帰らせました。普通の人っていないんですかね」

「普通はもっと早く来るべき」と店側は主張しましたが、ネットでは「3分前は十分」「遅刻扱いはおかしい」と炎上しました。

特に高校生や大学生など、初めてアルバイトをする人は「どこまでが常識?」「法律的にセーフなの?」と不安になりますよね。この記事では、タイミーの事例をもとに アルバイト出勤時間と労働の基本ルール を分かりやすく解説します。

りょうた
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今回の件は以下のサイトで詳細がまとまっていました。

出勤3分前は遅刻じゃない!

りょうた
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今回のたこ焼き屋の件は音声配信でも解説しました。

  • たとえば労働契約やシフトで「9:00始業」とあれば、労働義務は9:00から発生。
  • 9:00前に到着していれば遅刻ではありません。
  • 「3分前に着いたから遅刻扱い」は法律的に不当です。

何時までに出勤すればいいか?それは基本的に求人票や労働契約書に記載されている労働時間がベースになります。基本的にはここに書かれている始業時間までに出勤して働いていればいいです。

たとえば「9時~18時」と労働時間が定められていれば、法律的には9時まで出勤すればOKです。当然9時までくれば遅刻扱いには本来はなりません。つまり、たこ焼き屋のケースは 労務管理上アウト です。

りょうた
りょうた

ただし飲食店の場合、出勤してからユニフォームに着替えたり手洗いなどの作業が発生するため出勤時間より早めに来てほしいという言い分も理解はできます。この辺は本人に自主性次第でしょう。

でも、本来はそこまで計算に入れて労働時間は設定するものなんですよね。

なお、当のたこ焼き屋のポスト(現在は消されている)の魚拓がまとめサイトにも掲載されていましたが、普段からスタッフが辞めているそうなので、そもそもの労働環境にも問題があった可能性が高いです。

10月終えました。 売上は目標達成率78%で終え未達です。オープニングスタッフが4人まとめて辞めたりシフトが埋まらず土曜がオープンできない日があったりなど色々ありました

そんな中、何度もご来店頂いたお客様やついてきてくれるスタッフがいるので、もっともっと努して良いお店にしていきます!

たこ焼き屋「タイミーさんが出勤3分前に来たので帰らせました。普通の人っていないんですかね」

裁判で争われた実例もある

今回のような始業時間、労働時間に関しては裁判に発展した例もあり、今回のたこ焼き屋の例で言うと「三菱重工長崎造船所事件」が近いです。

(1)労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる

(2)作業服等の装着及び更衣所等から準備体操場までの移動は、会社の指揮命令下に置かれたものと評価することができる。
 また、副資材等の受出し及び散水も同様である。
 さらに、実作業の終了後も、更衣所等において作業服等の脱離等を終えるまでは、いまだ会社の指揮命令下に置かれているものと評価することができる。

三菱重工長崎造船所事件 最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決(労働時間) | 弁護士法人いかり法律事務所 【福岡】

この裁判では作業服の着替えなどの時間が労働時間に該当するかが焦点になりましたが、使用者の指揮命令下にある時間とされたため労働時間と判断されました。「業務性が強度であれば使用者の関与が希薄であっても労働時間性を認めることになります」とのことですが、三菱重工長崎造船所事件で言うと作業服は必須なようなので、つまり作業服の装着も業務性が高いと考えられる。そのため労働時間という認識のようです。

今回のたこ焼き屋のタイミーの件で言うと、今回の3分前の出勤が不満であれば、たとえば会社側は求人票・労働契約書における出勤時間をもっと早めに設定しておけばよかったでしょう。ただし早めた分、労働時間は伸びることもあるのでその分の人件費もちゃんと加算するのは前提ですけどね。

バイトは何分前に行くのが常識?

働く側からすると一番気になるのは「何分前に行けばいいの?」という点ではないでしょうか。

  • 法律上は始業時刻ちょうどでOK
    例えばシフトが「9:00〜13:00」なら、9:00に仕事を始められる状態でいれば遅刻ではありません。
  • 社会的なマナーとしては5〜10分前行動が無難
    特に飲食や接客のバイトでは、着替えやレジ準備に少し余裕をもって来る人が多いです。
  • ただし「マナー」を強制してはいけない
    店が「10分前必須」と言うなら、その分は労働時間として給料を払う必要があります。

つまり、「遅刻」ではなく「気遣い」レベルの話。トラブル回避のためには「5分前到着」を目安にしつつ、店が不当な要求をしていないかチェックしましょう。

りょうた
りょうた

この辺は法律でもあまり言及がされておらず感覚的な話ですが、一番いいのはたとえばシフトが9時からとしたら、着替え等の準備も込みの出勤時間になっているのが一番いいかもしれません。仮に着替え等の準備に10分かかるとしたら、9時に出勤、9時10分からお店に立つなど業務を開始するみたいな。

暗黙の了解で早出させる会社もある

法律の観点では、求人票や雇用契約書等に記載のある出勤時間に出勤すれば問題ないです。ただ、たとえば飲食店であれば手洗いやユニフォームに着替えるなどの準備の時間もあるので、実際には正式な出勤時間より早めに出勤するケースも多いです。この辺は業界やお店ごとのマナーに関する話なので、労働者と会社・店舗側での話し合って確認するのも良いでしょう。

ただ、会社によってはこのような準備ではなく、暗黙の了解やしきたりのような形で早く出勤させるケースもあります。

たとえば僕が派遣社員として建設会社の事務として勤めていた時は、所属していた総務部で使うトイレの掃除を正式な出勤時間の前にやるのがしきたりでした。基本的に一番若い人がやるしきたりで、当時23歳の僕が一番若かったので、求人票等では8時出勤のところ遅くても20分前くらいには出勤して毎朝トイレ掃除をしていました。

また、次の職場の学習塾も似たような感じで、全体会議で本社に社員が集まる日は新人(社内で一番若い人)が2,30分前に出勤して掃除をするというのが同じくしきたりになっていました。僕は23歳で入社して1年半ほど社内で最年少だったので僕が掃除当番でした。

その後、後輩が入ったことで本社の掃除当番は後輩に変わりました。このように掃除などの雑用で若手・新人が早出をするケースは地方の零細・中小企業では割とみられるケースですが、時間外手当等が出るわけではない点ではグレーですね。

労働者にできること

基本的に所定の出勤時間より早く出勤させてしかも手当が出ないのは違法に近いですが、とはいえ飲食店など業界によっては準備等で早めに来るのが望ましいケースもあります

その点では、採用時などに始業時間に関しては確認しておいた方がトラブルになりにくいかもしれません。特に飲食業など準備を要する仕事に関してはより確認した方が良いですね。

たとえば「〇時から勤務開始ですが、何分前に到着していれば大丈夫ですか?」みたいに何時に来れば良いかをしっかり確認しておくなどですね。また、これも踏まえたうえで以下まで確認しておくとトラブルを避けやすいです。

  • 労働契約書や求人票のチェック
    始業・終業時刻が明記されているか。そこに「着替え時間は含まれる」などの記載があれば、トラブルを減らせます。
  • タイムカード・システムの打刻ルールを把握
    「〇時ちょうどに打刻でいいのか」「5分前から押せるのか」など。これが曖昧だと揉めやすい。
  • 初日は余裕を持つ
    法律上は「始業時刻までにいればセーフ」ですが、初回だけは10分前くらい(少し早め)に行って流れを掴むのが無難。
  • トラブル時の記録
    「〇時出勤の契約で、3分前に来たら帰らされた」など事実をメモやスクショで残す。後で相談する時に武器になる。

学生バイトがよく抱える疑問Q&A

出勤5分前に来いと言われたら従うべき?
店が義務づけているなら、その時間も労働時間です。給料を払わないのは違法。
タイムカードは始業時刻に押すべき?
「準備してから押せ」と言われるケースがありますが、本来は準備も労働時間に含まれます。始業前に強制される準備はタイムカード前ではなく「勤務中」にカウントされるべき。
3分前に行ったのに「帰れ」と言われたら?
労働契約どおりに勤務できるのに帰らせるのは、雇用主側の都合。労働者に責任はなく、賃金カットは不当です。
法律的に守られないと感じたら?
学校のキャリアセンターや地域の労働基準監督署、労働相談窓口に相談できます。

まとめ

  • 出勤3分前は遅刻ではない。
  • 店が「何分前に来い」と義務づけるなら、その時間も労働時間。
  • 学生バイトは「常識」ではなく「法律」を基準にトラブルから身を守ろう。

今回取り上げたタイミーの件、早出の件は全部が全部法律で明記されているものではないため正直グレーな部分もあります。ただ、少なくとも「タイミーの人を3分前に出勤して帰らせた」点については、会社側が悪くない(タイミーの人が悪い)と言える確率は低いと言えます。

ましてずっとそこでアルバイトをしてるような人であればある程度職場の勝手がわかるのでまだいいですが、タイミーは基本的に初見の人が働くことも多いため職場の暗黙のルールなどは知ったことではありません。

アルバイトは社会経験の場でもありますが、だからといって違法・グレーな働かせ方に我慢する必要はありません。正しい知識を持ち、自分の時間とお金を守りながら安心して働きましょう。

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