著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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大学の農学部を出ていますが、いろんな人に
大学は農学部でした
と言うとけっこうな確率で珍しがられます。とは言え、農学部って何をやっているのか?分かるようで分からない大学の農学部でやることを実際に卒業した僕がまとめてみました。
この記事でわかること
ちなみに僕は玉川大学農学部を出てるので、そこを例にしてます。
農学部が勉強すること
実験。マウスの解剖で実際に切り開いた
最初のころは野菜だけでなくいろんなことを幅広くやります。たとえばマウスの解剖。各班に既に動かないマウスを1匹支給され、レクチャーを受けながら自分たちでお腹を切り開き内臓をスケッチするというもの。内臓を見ても意外と平気でしたが、それ以上に麻酔に使ってた薬品のにおいがきつかったです。例年内臓を見てか薬品の匂いなどで、気分を悪くする学生は数人いるそうです。
他にも牛などの家畜と動物も扱うことはあり、僕の行ってた大学はハチの研究が有名なこともあり、昆虫も扱いました。
農学部とはいっても扱うのは植物(野菜)だけではないのです。
特に大学1年生~2年生は動物から植物、遺伝子まで幅広く学びました。
土づくりからの農作業。各自で野菜を栽培
野菜の写真は大学1年生(2007年)に当時のガラケーで撮ったもののため画質が悪い点はご了承ください。
1年生前期の実習でプランターでプチトマトを育てました。
土から自分たちで作り、収穫するのはもちろんですが、収穫した個数や味などいろんなデータを取るのがメインでした。さらに後期ではカラシナという野菜を育てました。
カラシナは露地栽培(地面に直接植える)で同じようにデータを取りました。ちなみにプチトマトもカラシナも収穫後は各自で持って帰りプチトマトはサラダに添え、カラシナは炒め物にして食べました。
同じ学科の友人からおすそ分けをいただくこともあり、地味に食費が節約できるかもしれません(笑)
田植え。一つ一つ丁寧に植える
米を発芽させるのは各自でやって、伸びてきたものを各自で田植えしました。通常はトラクターでやる場合が多いですが、この時は裸足で田んぼにも入り各自で手で植えました。泥がすごく柔らかいので足が埋まってしまう感覚がなれませんでしたが、泥の生暖かい感じがクセになりそうでした(笑)
あと田んぼの中にはオタマジャクシやタニシとかもいたので、それを見てるのも楽しかったです。ちなみ僕は高校は普通科で農作業もしたことはなかったのですが、農業高校出身の人は高校で田植えとかはしてたようです。
農業高校出てた人は農作業全般を高校でやっていたからか手際が良かったです。
卒業研究・実習などすごく忙しい
農学部というより理系全般に言えますが、文系と比べると圧倒的に忙しいです。特に植物となると、日ごろの管理も欠かせないのでどうしても卒論中心の生活になります。バイトをしながら卒論も不可能ではないですが、相当な労力がかかる覚悟は必要です。
僕の周りもバイトもやっている人はいましたが、最低限の回数に抑えてました。大学4年の12月くらいまで、実験と論文作成で膨大な時間を費やしました。論文は100ページ越え。
文系学部を羨ましいと思ったことは一度や二度ではありません(笑)
卒論は教授の厳しさも加味すると、ある意味会社の仕事以上にきつかったです。
ちなみに卒業研究は「観葉植物を使った空気浄化」という変わったテーマでした。
密閉した容器にゼラニウムの葉と少量のホルムアルデヒドを注入し、時間ごとにホルムアルデヒドの量を測定。
ゼラニウム(植物)がホルムアルデヒドを吸着・分解する効果があるかを品種ごとに検証していました。
当時の結果は、品種間差はありながらも多くの品種でホルムアルデヒドの減少が認められました。
名前が出た程度ですがゼミの教授が学会に出す論文の手伝いも少ししました。
園芸学会に出す論文として、卒論とは別に共同研究者のような立ち位置で僕の名前も載っています。研究室によっては学部生のうちから学会に関わる場合もあります。
農学部の就職活動、進路
農家になる人は意外と少ない
農学部というと「農家になる」というイメージの方が多いようですが、農家になるのはごくまれで食品メーカーなどのメーカー系の企業への就職が多いです。植物に関する仕事や大学の勉強をベースに学んだことを生かすというパターンが多いですね。
特に女性は食品系の学科を好む傾向(農業高校もふくめて)があり、食品系の会社への就職も多いです。もちろん、専門と関係のない普通の企業に行って営業や事務などの仕事に就く方もいます。僕も塾講師やってましたから。
最近はインターンシップやごく一部の大学では「コーオプ教育」を導入するなど、在学中に企業での実務経験も積むなどやることが多彩になりつつありますね。
大学院への進学
あとは大学院への進学。民間企業の研究職は「院卒」以上しか受けつけてない会社も多いです。そのため、大学院まで行ってそこから研究職に就くというパターンが多いですし、もしくはそのまま大学に残って研究をして、講師、准教授、教授となったりもするそうです。
ちなみに就活の時期は、卒業研究とも時期が重なります。
就活と卒業研究の両立は今考えてもよくやったなと思うくらい大変でした…。
しかも僕は茨城へのUターン就職を考えていたため神奈川と茨城を行ったり来たりの生活でした。
卒業研究で相当な時間を使うので、文系より選考を受ける企業の数も少なめです。ただ他の大学も含めて大学院行って精神を病んだという話を聞くことが何度かあったのでそこは気になる所。いずれにしても大学院はなんとなくで行くところではありませんね。
公務員もいる
少数派ではありますが、公務員への就職もあります。農業に関わる職種や国家公務員でいうと農林水産省。市役所や都道府県庁の事務職まで幅広いです。ただし理系学部から公務員の事務職にいくのは少数派です。
僕も実は公務員を目指した時期があり公務員試験の講座も受講しましたが、試験の内容が多岐に渡ります。そのため、膨大な勉強量と時間が必要になります。それで就活を並行しようとするとかなり大変なので、覚悟が必要です。
大学受験もすごく勉強しましたが、公務員試験は大学受験以上の幅の広さでした…。
こういう人は農学部はやめとけ
- 動物や植物に興味がない
- 勉強よりサークルやアルバイトに重きを置きたい
- とにかく遊びたい
- 実験、論文作成に膨大な時間を割くのが嫌だ
農学部なので動物や植物は必ず相手にしますから当然ですね。また、生き物が相手という点では実験や実習にもかなりの時間や労力を割きます。そのため時間的に勉強もやりつつ、サークルからアルバイトまで全部みっちりやるのは物理的に困難なことが多いです。
農学部に限らず理系全般の宿命ですが、「勉強第一」という気持ちでないと農学部はただただ辛くなります。
僕の場合は3年生の後期から実験や実習が増えたので、遊んでる余裕があまりなかったです。
農学部は意外と幅広いし大変
農学部といっても野菜を育てるだけでなく、動物や昆虫も扱うし、僕の卒業研究は観葉植物でした。さらに僕の場合他学部の教養科目も多めにとっていたので、なおさら幅広く勉強したと思います。文学部や経営学部など文系学部の授業も取っていたくらいですから。当時も農学部にはいながら、いろんな方面の知識をつけたいという思いは強かったですね。
もっと専門的になると、このように外で作業をやる場合もあれば、僕のように室内での実験がメインとなる場合もあるので、本当に人によって様々です。農学部といっても幅広かったり奥深かったりします。