奨学金の減額は意外とあっさりできる!?奨学金減額返還制度を解説

著者:長池涼太(ブラック企業研究家)

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  • 「奨学金の返済の負担が大きい…」
  • 「月々の奨学金の返済額を減らしたい」

奨学金の返済に悪戦苦闘している方は多いと思います。僕も正社員のころは問題なかったですが、会社をクビになり無職になったり、フリーランスになって収入が不安定になると奨学金返済の負担が際立つようになりました。

ですが『奨学金減額返還制度』を活用することで、月の返済額を3分の1に抑えることができました。今回の記事ではその経験をもとに、奨学金返済の減額の手続きについて解説します。

この記事でわかること

  • 奨学金減額返還制度の仕組み
  • 実際に手続きをするときの流れ
  • 手続きの際に必要なもの

奨学金減額返還制度の概要

記事の内容についてYouTubeでも解説しています

減額返還制度は、災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な方の中で、当初約束した割賦金を減額すれば返還可能である方を対象としています。
一定期間、当初約束した返還月額を減額して、減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長します。毎月の返還額を減額するため、無理なく返還を続けることができます。
願い出るためには、提出いただく証明書が、一定の要件に合致しなければなりません。
1回の願出につき適用期間は12か月で最長15年(180か月)まで延長可能です。

月々の返還額を少なくする(減額返還制度)|独立行政法人日本学生支援機構

主に失業などの経済的理由や災害や病気に伴い奨学金の返済が難しい方に向けた措置で、手続きを踏むことで月々の奨学金の返済額を減らせます。ちなみに僕は減額返済の手続きをして、月の返済が『23,000円』から『7,700円』に減りました

りょうた
りょうた

月の固定費としてもダントツで大きい額だったので助かりました。

1回申請すると最大1年間有効で、その後も減額を続けたい場合は期間が終わるごとに申請する必要があります。通算15年までの適用になるため、その期間で全額返済が終わらない場合はどこかで減額返還をストップすることも視野に入れましょう。

りょうた
りょうた

あくまで月の返済額が減るだけで返済の総額や利息が減るわけではないので、計画的に活用しましょう。

特に会社を辞める人はなおさらお金関連は計画的に!

奨学金減額返還の流れ

奨学金減額返還の流れは大まかには以下の通りです。

自身の年間収入が300万以下であることを確認。フリーランスなどで給与所得以外の収入がある場合は必要系控除後で200万円以下。

収入が低い人向けの措置ですからね。ただし控除の兼ね合いでこれを超えても適用される場合もあります。

条件に応じて書類を準備

奨学金減額返還願は必須。加えて条件によっては雇用保険受給資格者証、所得証明書なども必要になる。ちなみにマイナンバーの提出があるとほとんどの書類が省略できます。

奨学金減額返還願の記入

書類は様々ですが奨学金減額返還願は必ず記入することになります。書くのは連絡先などの個人情報に加え、『希望減額返還方法(2分の1減らすか3分の1に減らすか)』『希望減額返済期間(いつから・何か月間)』『願出の理由(経済困難であれば収入が低い、練った旨を簡略でいいので記入)』を書きます。

必要書類を封筒に入れて郵便局で「簡易書留」で郵送する。

1回目は必ず郵送。2回目以降は条件次第ではオンライン(スカラネット・パーソナル)でOKになることもあります。

郵送後1~2か月で『奨学金減額返還承認通知』が届き減額が適用される

通知書に減額後の金額や適用される期間が書いてあります。

収入が基準以下であることの確認

減額返還の申請をする上で収入が基準以下なのは大前提です。

所得の内容収入・所得金額の目安
給与所得者の年間収入の目安
(主に会社員)
所得証明書などにおける年間収入が325万円以下
給与所得以外の所得を含む年間収入の目安
(フリーランスなど)
所得証明書などにおける経費などの控除後の年間所得額が225万円以下

いずれも扶養している人がいれば、1人につき「38万円」を控除できる。

たとえば会社員で年間収入が330万円でも、被扶養者が1人いたら「325万-38万円=287万円」となり減額返還の基準内に収まる。ただし申請にあたって、健康保険証のコピーが必要なので注意

会社員で給与所得を得ている場合は『325万円以下』、フリーランスなどで給与所得以外の場合は必要経費を控除した後の金額が『225万円以下』が目安です。ただし目安を超える場合でも、医療費などとの兼ね合いで経済状況が芳しくない場合は減額返還が受理されることもあるので、該当する控除があれば検討しましょう。

>>年間収入が300万円(給与以外の所得を含む場合は年間所得200万円)を超える方のための控除計算表

必要に応じて書類を準備

マイナンバーの提出がある場合

必要な書類はマイナンバーの提出の有無で変わってきます。マイナンバーの提出がある場合は下記の書類があれば大丈夫です。

マイナンバーがある場合に提出する書類

奨学金減額返済願はHPに記入例もありますのでご参考に。

>>奨学金減額返還願記入例

マイナンバー提出書
マイナンバー提出書。マイナンバーを提出する際は必須です。
りょうた
りょうた

マイナンバーがないと提出しなければならない書類が倍増するので、マイナンバーがある人は手続きがすごく楽になります。

マイナンバーの提出がない場合

マイナンバーの提出がない場合は奨学金減額返済願に加えて以下の書類を組み合わせる必要があります。全部ではないですが、複数提出しなければなりません。

マイナンバーの提出がない場合に必要なもの
  • マイナンバー通知カード
  • 健康保険証
  • 年金手帳
  • マイナンバー記載の住民票
  • 所得証明書、住民税非課税証明書、市・県民税証明書いずれかの原本
  • 雇用保険被保険者証(失業中の場合)
りょうた
りょうた

所得証明書は役所やコンビニで申請する必要がありますし、雇用保険被保険者証もハローワークで手続したうえでもらえるので、このあたりが必要な人が少し手間がかかるかも。

番号確認書類・身元確認書類提出例
マイナンバー含めて身元確認書類の提出の例が載っています。

マイナンバーカードがあれば、両面をコピーするだけなので一番手っ取り早いですね。なお、身分証以外に必要な書類の詳細も日本学生支援機構のHPに記載されているので、該当するものをご確認ください。

減額返還証明書
マイナンバーの提出がない場合に必須な書類
追加で必要な書類
状況によって追加で必要な書類

>>減額返還証明書一覧

りょうた
りょうた

僕は所得が理由だったため、本来は住民税非課税証明書、所得証明書、市・県民税(所得・課税)証明書が必要でしたが、マイナンバーを提出するため省略できました。

マイナンバーカードがあれば手続きはかなり楽になります。所得証明書の類は役所に行かなければいけないこともありますからん。

スカラネット・パーソナルで手続き

奨学金減額返済願は印刷して書いてもいいですが、ネット上で記入して記入し終わった段階で印刷してもいいです。スカラネット・パーソナルは奨学金の返済が始まる段階でIDなどを渡されログインができるようになっているはずです。

スカラネット・パーソナル
スカラネット・パーソナルにログインするとまずこの画面

『各種手続』にいき、手続きをする上でワンタイムパスワードが必須なので取得。登録されているメールアドレスにワンタイムパスワードが送られるので入力画面で入力しましょう。

ワンタイムパスワードを取得
スカラネット・パーソナル

ワンタイムパスワードを入力して手続きのページに入るといろんな手続きの項目があるので、下の方にある『減額返還願』へ。

減額返還願
減額返還以外の手続きも載っています。
奨学金減額返還同意確認

すべての四角にチェックを入れたら、減額返還願の記入に入ります。

りょうた
りょうた

オンライン関連の手続きはスカラネット・パーソナルを使うことが多いので、いつでもは入れるにようにしておきましょう。

郵便局で簡易書留で郵送

書類が準備できたらあとは提出のみ。減額返還の申請は初回は『郵送』で、郵便局に行って『簡易書留』での郵送です。僕の時で料金は簡易書留の料金330円と第一種定形外120円の合計440円でした。

送り先は『〒119-0385 独立行政法人日本学生支援機構 猶予減額受付窓口』でOKでした。

ちなみに簡易書留をすると、領収書といっしょに「書留・特定記録郵便物等受領証(お客様控)」を渡されるので念のため取っておきましょう。

りょうた
りょうた

普段郵送とかほとんど使わないので、A4の封筒の準備やら簡易書留の方法など調べました(笑)

1~2か月後に『奨学金減額返還承認通知』が届き減額が適用される

奨学金減額返還承認通知
実際に届いた奨学金減額返還承認通知

書類を出してから承認されるまでの期間は決まっていませんが、僕の場合は2023年5月29日に郵便局で郵送して、6月19日と約20日で奨学金減額返還承認通知が届きました。(書類上は6月12日で承認されてた)

元々は毎月23,102円の返済だったのが減額返還が適用されたことで7,700円に減額になりました。固定費の中では断トツの額だったので、約7割減額されてだいぶ負担が減りました。

りょうた
りょうた

減額は大きく2パターンで「2分の1に減額」と「3分の1に減額」があり、今回は3分の1の減額が適用されました。どちらにするかは自分で選べるので自分の経済状況に合わせて選びましょう。

ただしコロナ禍なども絡んでか、申請から減額の適用まで2,3か月くらいかかったケースもあるそうです。

僕は幸い申請の翌月から適用になりましたが、社会情勢や申請人数によっては遅れが生じることもあり得るので、早めの申請がおすすめです。

奨学金減額返還承認の通知

奨学金減額返還承認通知は本人と連帯保証人に通知、書類が郵送されます。僕の場合は実家で連帯保証人の父とも同居しているため、承認通知の書類が2通来ました。
(一般的に連帯保証人は親、保証人は叔父・叔母がやることが多いらしい)

親など連帯保証人と離れて暮らしていると、通知が別々にいくため念のため通知が来たかなどは確認したほうがいいかもしれません。通知の詳細は奨学金減額返還願等の提出で解説されています。

奨学金減額返済願記入例と申請理由(経済困難)の例文

奨学金減額返還願
僕が実際に提出した奨学金減額返還願です。
奨学金減額返還願で記入するポイント
  • 奨学生番号
  • 氏名(印刷後に手書き)
  • 住所
  • 電話番号
  • 勤務先(フリーランスの方は自営業と記入)
  • 希望減額返還方法(2分の1もしくは3分の1)
  • 希望減額返還期間(開始時期と期間)
  • 願い出の事由(選択した事由、保険証申告欄、特記事項)
  • マイナンバーの提出

願い出の事由の特記事項については記述式なので、今の状況などを記入する形ですがどのような理由で低収入であったり、収入が安定しないかを記入すれば問題ないと思います。僕の場合は「自営業になり低収入かつ安定しません」と書いています。

特に自営業(フリーランス)の場合は、収入が不安定なことが多いのでその旨を書いておくのもポイントです。

りょうた
りょうた

僕の場合、特記事項は1行しか書いてなかったですが受理されたので理由や要点が伝われば簡略でいいかと思います。

奨学金返済の負担が多すぎて自殺につながるケースも

奨学金の返済は負担が大きいもので、僕の場合は正規のパターンだと月23,102円の返済を20年続ける予定でした。普通に正社員としてならまだ何とかなりますが、アルバイトなど非正規雇用だったり失業となるとかなりつらい額です。

特に最近は奨学金の返済苦によって自殺をしてしまう人も出ているそうです。

 朝日新聞はこの日『自殺の動機「奨学金の返済苦」、22年は10人 統計見直しで判明』と題した記事を報道。2022年の自殺者のうち、理由のひとつとして、奨学金の返還を苦にしたと考えられる人が10人いたことが、警察庁などのまとめでわかったという。

「『奨学金の返済苦』が自殺の動機」2022年に10人の報道で「奨学金なんてまやかし」「学生ローンに名前を変えろ」の大合唱

人数だけ見れば少ないとも取れますが、それでも自殺する人がいるのは事実ですし自殺しないまでも奨学金の返済を負担に感じ生活に影響が出ている人は少なからずいると思われます。僕は社会人になってからずっと実家暮らしのため家賃などもなくコストはかなり抑えられていますが、もし一人暮らしだったら生活にもかなりの影響が出ていました。

このようなケースもあるため、今回の記事を通じて『奨学金の返済額は減額できる』ことも知られてほしいです。

奨学金の返還そのものを止める!?

返還期限猶予制度』という制度もあります。こちらは減額ではなく返済そのものをいったんストップすることになります。基本的な条件は今回紹介した減額返済と大きく変わらないようなので、どうしても奨学金の返済が負担だと思った人はぜひお試しください。

特に最近会社を辞めた方は社会保険など税金面で思わぬ出費も多いので気を付けなければいけません。

減額返還の注意点・デメリット

  • 奨学金の返済を口座振替(リレー口座)で行っている人が対象
  • 返還の総額が減るわけではない
  • 2回続けて返済を延滞(振替不能)すると減額返還の適用取り消しとなり、本来の月々の返済額に延滞金を加えた額の返還になってしまう

特に延滞はリスクが大きいので、口座に必要な額が入っているかの確認は必須です。また、減額しても返済が厳しい場合は返還期限猶予制度の活用も検討しましょう。

まとめ

  • 奨学金の減額返還制度を活用することで、月々の奨学金の返済額を半分以下に抑えることができる
  • マイナンバーカードを取得やマインバーの提出をしていると申請がぐっと楽になる
  • 初めての申請は郵便局で簡易書留
  • 減額してもキツい場合は返還そのものを待ってもらうこと(返還期限猶予)も可

今回の記事は奨学金の減額返還制度について、僕の申請をもとに解説しました。申請に少し手間はかかるものの会社員でも年間収入が300万円を超えないくらいしか条件がないため、条件もそこまでハードルが高いものではないと思います。奨学金返済の負担は決して小さくはありません。

いざとなったら返済の減額もして、少しでも経済的な負担を減らしましょう。

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